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ビブリオグラフィー・イン・チルドレン

ビブリオグラフィー・イン・チルドレン
最終回
2008年01月17日(木)

続『機動戦士Ζガンダム』&『機動戦士ガンダムΖΖ』編


 今回も引き続き、『機動戦士Ζガンダム』編をお送りします。掲載権のイニシアチブを握っていた講談社の出版物は、Ζガンダムを児童向けに落とし込もうとする苦労の跡が見えましたが、はたして他社はどのようにΖガンダムを扱っていたのでしょうか?

■ひかりのくに編

 『機動戦士ガンダム』の頃に比べて、『機動戦士Ζガンダム』の児童向け出版物は明らかに減少しています。実際、『Ζガンダム』の「絵本」を発売したのは講談社の他には、ひかりのくに社だけになってしまいました。ただ、これは作品の人気が云々といった単純な話ではありません。1985年当時、児童向け書籍から撤退したり、もしくは業務そのものを停止する出版社が存在していたためなのです。
 1970年代はアニメーションというジャンルが「まんが映画」として一括りになっていた時代であり、ファーストガンダムの出版物もその中の一つでした。しかし、1980年代になり、アニメーションは「児童向け」「ヤング向け」と明確に二分されるようになります。とかく、かような状況が、児童向けの出版展開に大きな影響を及ぼしたのは言うまでもありません。世間に「まんが映画」が「アニメーション」として認知されることで、出版業界は大きな変化を強いられることになるのです。

 さて、本題の「ひかりのくにテレビえほん254 機動戦士Ζガンダム①」について語っていきましょう。まず、本書の最大の特徴としては、作画を北爪宏幸氏が担当していることが挙げられます。北爪氏は言うまでもなく、『Ζガンダム』第1話の作画監督を務めたアニメーターですが、本書の存在はあまり知られていないようです。

<あらすじ>
「とおいみらいのおはなしです」(原文ママ)
 地球連邦政府は地球を綺麗な星から汚れた星に作り替えようとしていました。
 けれど、それに反対する人もたくさんいました。そこで、連邦政府のバスク大佐は宇宙に浮かぶグリーン・オアシスに、反対する人間をやっつけるための基地を作りました。
  グリーン・オアシスに住むカミーユは、連邦政府の考えに反対する少年でした。そこにモビルスーツのリックディアスに乗って、「シャアというわかもの」(原文ママ)がグリーン・オアシスにやってきました。悪いバスク大佐を倒すためです。
 カミーユはシャアについていくことを決心して、
「おとうさんのつくったガンダム・マークIIにとびのりました」
「ぼくもいっしょにたたかいます!」
 シャアはあたらしいみかたができたのでおおよろこびです
「よし、わたしについてこい」(以上、原文ママ)
 カミーユはアーガマに向かいます。それを追撃するガルバルディβとハイザック。ガンダムはビームライフルで「あっというまにガルバルディ・ベータをうちたおしました」(原文ママ)
 続いてビームサーベルでハイザックも真っ二つにしてしまいます。
「モビル・スーツをあやつるのがとくいなシャアも、ガンダムのつよさにはすっかりかんしんしてしまいました」(原文ママ)
「う~ん、おぼえていろ!」(原文ママ)
 戦いが不利になったバスク大佐は基地に引き返して行きました。
「よくやった、カミーユ。これからもいっしょにたたかおう!」
「ちきゅうのみどりをまもろうとするすばらしいなかまにかこれまれて、カミーユはしあわせです。がんばれカミーユ! たたかえ、ガンダム・マークII!」(原文ママ)



▲「ひかりのくにテレビえほん254 機動戦士Ζガンダム①」。表紙のカミーユとシャアの表情も良いが、表紙も裏表紙もマークIIのポーズがいちいちカッコイイ。内容は第2話をベースにした物語である。



▲地球を汚れた星に作りかえようとする「れんぽうこくのひとたち」。プロローグはどうも別の作品になっている気が(笑)。



▲カミーユとシャアの出会い。マークIIのガッツポーズ(?)がおかしい。ちなみに画面の奥でリックディアスに攻撃されているのはGMIIである。カミーユが既にノーマルスーツを着ているのはちょっとヘンかも。



▲ガルバルディβを倒し、さらにハイザックも真っ二つ。マークIIの人間のごときアクションポーズに注目したい。左手の表情なんて特に1980年代な感じの作画である。



▲メインキャラクター集合。北爪氏の絵の魅力が一番伝わってくるページとなっている。特にエマとファの北爪美人ぶりがすばらしい。


 続いて「ひかりのくにテレビえほん268 機動戦士Ζガンダム②」を紹介します。こちらは講談社の第2集と同様に、Ζガンダムの登場をきっかけとした発刊です。第1集の作画は北爪氏でしたが、第2集は最終回などを担当したメインアニメーターの小林利充氏が担当しています。16ページの絵本ではありますが、当時この分量を北爪氏や小林氏に描き下ろさせたアニメーション雑誌は存在しないわけで、実はファン向けのグッズとしても侮れない存在なのです。

<あらすじ>
 月のエゥーゴ基地を攻撃する命令が、ジェリドとマウアーに下りました。
 今、地球では世界と宇宙のスペースコロニーの支配を企むティターンズと、それに反対するエゥーゴの間で激しい戦いが続いています。
 ガブスレイがエゥーゴの月面基地に攻め込んできました。カミーユとエマはガンダム・マークIIに乗って出撃しますが、ガブスレイは強力です。ついにエマのマークIIが撃たれてしまったのです。
 ガミーユはエマを助けようとしますが、ガブスレイは「ひこうがた」(原文ママ)に変形し、凄いスピードで向かってきました。
 その時です。「カミーユ!! このΖガンダムにのりなさい」(原文ママ)友達のファが新しいモビルスーツ・Ζガンダムを持ってきてくれました。カミーユのΖガンダムはグレネード・ランチャーでガブスレイをこなごなにしてしまいました。
 もう一機のガブスレイは逃げていきます。Ζガンダムはウェイブ・ライダーに変形してガブスレイをおいかけます。「カミーユのせんぱいのシャア」(原文ママ)も百式で応援します。
 Ζガンダムはロング・サーベルでガブスレイに斬りかかりました。
「ガブスレイにのったジェリドはくやしそうににげていきました」(原文ママ)
「よくやったなカミーユ!」なかまたちがあたたかくむかえてくれました(原文ママ)



▲「ひかりのくにテレビえほん268 機動戦士Ζガンダム②」表紙にはΖガンダムの登場が大きく謳われている。裏表紙のマウアーの美しさにも驚かされるが、ガブスレイよりも大きく描かれているのも凄い(笑)。物語は第21話や第30話がベースとなっているようだ。



▲第2集はかなり映像を忠実に再現しようという意志が見られる。マウアーがここでも美しい!! シロッコのポーズも決まっている。



▲なんとカミーユもエマもマークIIで出撃しているという、大胆なストーリー展開が! ピンチ顔のエマがやたらとチャーミングで、岡本麻弥さんの声が聞こえてきそうだ。



▲Ζガンダム登場!! グレネード・ランチャーの一撃でマウアーのガブスレイを粉々にしてしまった。TVのΖガンダムもこのくらいの無敵ぶりを見せて欲しかったなぁ、と思ったりして。



▲お約束の最終ページでメインキャラクターが集合。アムロがアーガマに乗っているのはヘンだが、やっぱり嬉しくなってしまうのはファーストガンダムファンの性か(笑)。第1集にはいなかったレコアもしっかり登場している。


 ひかりのくに社は、『Ζガンダム』に続き、『機動戦士ガンダムΖΖ』の絵本も発売していました。
「ひかりのくにテレビえほん296 機動戦士ガンダムΖΖ①」はダブルゼータガンダムの登場にタイミングを合わせて発売されたもので、作画は本編の作画監督を務めた山田きさらか氏が主催する、スタジオ・マークが担当しています。スタジオ・マークはダブルゼータの合体シーンの作画も担当していて、ひかりのくに絵本はまたもメインアニメーターの手で描かれたということになります。表紙に書かれているように、内容はモビルスーツ図鑑でストーリーは特に記されていません。



▲「ひかりのくにテレビえほん296 機動戦士ガンダムΖΖ①」(第2集の刊行については確認されていない)。表紙のダブルゼータの描き込みがみどころ。裏表紙にはこれまで発売されたガンダム絵本シリーズが並んでいる。7年間の歴史がここにある!



▲ダブルゼータの各部ディテールを紹介。頭部の「ウルトラビームほう」が凄い。しかしながら、スーパーロボットライクなダブルゼータにはさほど違和感がないのも事実だ。



▲後期エンディング・フィルムを先取りした、歴代ガンダム大集合。この頃には、一桁だったのか……とか妙な感慨にふけってしまう。ここでも「ウルトラビームほう」の記述が(笑)。



▲ネオ・ジオンのモビルスーツたち。4ページにわたってガルスJ、ガザD、ズサ、ハンマハンマ、Rジャジャ(以上、すべて原文ママ)が掲載。



▲大迫力で描かれたダブルゼータの活躍。『Ζガンダム』のガザCもしっかり紹介されている。ハンマ・ハンマにガルスJと見出しが振られているのはともかく、奥行きを感じる構図が良い。



『ガンダムΖΖ』の児童書は本書一冊のみとなっていて、ファーストガンダムより続いた張り合わせ絵本の歴史は、ここで一度閉じることになります。後に『SDガンダム』関係の絵本も発売されていますが、TVシリーズの『ガンダム』に関しては本書が事実上最後の刊行と考えて良いでしょう。
 一つの時代がここで終焉を迎えたのです。

 7回に渡ってお送りして参りました、本コーナーは今回で終了となります。ファーストガンダムの放送当時の検証は、多数の研究書が出ている現在においても、見過ごされている分野なのではないでしょうか。個人的に、評論文ばかりの現状に飽きを感じていたこともあり、本稿の企画を提案させていただきました。
 今後はしばらく充電期間に入らせていただき、また別の観点からガンダムの検証を
行ってみたいと思う次第です。その時は、またよろしくお願い申し上げます。
(終)

五十嵐浩司(タルカス)


【プロフィール】
五十嵐浩司(いがらし・こうじ)
ファーストガンダムを朝6時から放送し、あまつさえ26話で打ち切った青森県で生まれ育つ。本業は編集者。
サンライズ作品関連では「ガンプラ・ジェネレーション」(講談社)、「蒼き流星SPTレイズナーコンプリートワークス」(新紀元社)、「ガンダムX」「バイファム」「トライダーG7」「ダイオージャ」「ゴウザウラー」「メタルジャック」「エクスカイザー」~「ダグオン」(以上、DVD解説書)などを手がける。最新作は「ライダーヒーロー大全」「トランスフォーマービジュアルワークス」(ともにミリオン出版)。
タルカス所属。

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続『機動戦士Ζガンダム』&『機動戦士ガンダムΖΖ』編

2008年01月17日(木) 掲載
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