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ネイティブガンダム[リマスター版]
第2回
2007年07月24日(火)
第2話「ガンダム破壊命令」
第2話では、
リュウ、ミライ、セイラ、カイたち、後にレギュラーとなっていく主要なキャラクターが続々と登場する。一種の「顔見せ」的な役目をもったエピソードなの
だ。その人となりは、実に手際良く紹介されていく。些細なセリフや表情変化、リアクションの断片から出身や育ち方、人格までもが浮きたつのだ。重要なの
は、「それぞれに背負ったものがある」という体臭をキャラが放っていること。特にミライやセイラたちが漂わせている「階級の差」の空気は見逃せない。そこ
には戦争を生み出す遠因も見え隠れする。
【一瞬の変化が見逃せない】重
傷を負ったパオロ艦長を手当するフラウ・ボゥ。その驚きの表情から、ケガの重さがうかがい知れる。艦長とブライトとの会話が始まり、ガンダムのパイロット
とアムロの名に話題が及ぶと、ブライトに背を向けたフラウは瞬時に表情を変化させる。ガンダムに乗ったアムロと先に遭遇しているからだ。しかし、彼女は何
も言わない。言えるわけがないのだ。このように、人の内心に起きた動揺だけが問題となるような演出は、非常に想像力を喚起させる独特の臨場感を発生させ
る。
【漂流記の持ち味】『ガンダム』企画のルーツを探っていくと「十五少年漂流記」にたどりつく。ホワイトベースに逃げこんだ少
年少女たちの言動にも、その反映を感じとることができる。特に訓練を受けた兵士や大人たちの多くが死んでしまった状態で、怪我をした乗員の指示で必死に操
艦するハヤトやセイラの姿は感動的だ。しかも、現実世界でもアニメーションの制作現場やソフトウェアの開発現場などで、そうした舵取りを失って漂流する泥
縄的状況はいたるところに実在する。初期エピソードはそうした危機的な極限状況の中で人の軋轢が生む感情のもつれが、実によく描かれている。
【弾切れするガンダム】実
を言えば、ガンダムのデザイン自体は同時代のスーパーロボットとそれほど違わない。特に2作前の「ザンボット3」と非常に似たパーツを多く持っていたりす
る。もしガンダムが特別にリアルに見えるとすれば、それは「運用」という概念を取りいれたからに他ならない。ビーム・サーベルを使った接近戦の第1話に対
し、第2話では遠距離射撃用のビーム・ライフルが登場する。人間サイズの小さな目標は撃ち漏らし、高熱源を発するミサイルは正確に迎撃、命中すればザクも
一瞬で爆破できるなど、武器としての多彩な運用面が実に丹念に描かれている。同時にガンダムがそれまでの「必殺技」とは違う性質の戦力をもつことも強調し
ている。特にエネルギーが尽きて「弾切れ」を起こす展開は、「ヒーローは無敵」という固定観念を一気にくつがえすインパクトを放つものだ。
【立場の差が生む葛藤】戦
い終えてブリッジに上がってきたアムロは、ブライトに罵倒されて腹をたてる。ほめられて当然だと思いこんでいたのだ。それは観客の気持ちも同様である。し
かし、一挙にトップクラスを失って何階級も上の判断をし続けているブライトも、まったく余裕がないのだ。立場の差を互いにブチあけ腹を割ってしまえば楽な
のに、第一歩を間違えたばかりに、葛藤が発生してしまうのだ。この確執は20話台まで引きずることになってしまう。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ