『ガンダムSEED』＆『SEED DESTINY』のメカデザイン秘話続々！「メカデザイナーズサミットVol.09」レポート

アニメーション業界におけるメカニカルデザイナーのパイオニア、大河原邦男さんをホストに迎えるトークイベント「MECHANICAL CITY INAGI PRESENTS メカデザイナーズサミット Vol.09」が、3月26日（土）に東京・稲城市の「いなぎ発信基地ペアテラス」よりライブ配信された。

第9回となる今回は、テレビアニメ放送開始から20周年を経た現在も人気の『機動戦士ガンダムSEED』（2002年）と『機動戦士ガンダムSEED DISTINY』（2004年）をメカニカルデザインから考察。
メインホストの大河原さんに加え、両作の福田己津央監督、艦船などのデザインを担当したメカニカルデザイナーの山根公利さん、特殊設定を担当したスタジオぬえの森田 繁さんが登場し、作品の魅力を語った。また、司会進行は月刊ガンダムエースなどで活躍するフリーライターの石井 誠さんが担当した。

大河原さんは、メカデザインを仕事にしてこの4月で50年を迎え「色々な人との出会いでここまで続けてこれた」と振り返る。大河原さんと福田監督との付き合いも『無敵ロボ トライダーG7』（1980年）に始まり『超力ロボ ガラット』（1984年）や勇者シリーズ（1990年～）と長く、お互いに信頼も厚い。
『ガンダムSEED』を始める際は、ザフト側のメカを大河原さんが、地球連合軍側を別のデザイナーが担当する計画もあったが、結果的に両陣営とも大河原さんが担当することに。大河原さんは、バクゥなど“普通じゃないMS”のデザインで「遊ばせてもらった」と語ると同時に「（福田監督は）羽根にはうるさいんだ」と苦笑も浮かべる。
艦船を担当した山根さんは、アークエンジェルをデザインした際、『機動戦士ガンダム』（1979年）のホワイトベースをイメージベースとしながらも、昭和から平成へ時代の変化を取り入れた。縦横だけでなく斜めの線を大胆に使うなど、『∀ガンダム』（1999年）でシド・ミードさんが提示したデザインも踏まえて完成に至ったという。他の艦船も、ムサイなど『機動戦士ガンダム』の匂いをデザインに込めている。

『ガンダムSEED』がヒットしたことにより作られることになった続編の『ガンダムSEED DISTINY』についても、大河原さんは「『SEED』よりも『DESTINY』の方が“ぶっちゃけた”から、私はより楽しかった」と笑顔を見せる。74歳になった今でも新しい仕事が来るとワクワクする、制約のある仕事は逆に燃える、と語る大河原さん。海外からの発注も増えていることに「メカデザイナー冥利に尽きる」と感慨深げに頷いていた。

本イベントの模様は近日アーカイブ配信予定。続報をお楽しみに。

（ガンダムインフォ編集部）

MECHANICAL CITY INAGI PRESENTS メカデザイナーズサミット Vol.09
［開催日］2022年3月26日（土）
［会場］いなぎ発信基地ペアテラス