
KADOKAWAより、書籍「重田智WORKS メカニカル画集」が11月20日(木)に発売される。
本書は「ガンダムSEEDシリーズ」をはじめ、数々の大ヒットアニメでメカ作画の歴史に革新を起こしてきたアニメーター・重田 智さんの初書籍。ポスターやパッケージなどの「版権イラスト」を中心に、制作過程を含めたあらゆる仕事を収録した一冊となっている。
発売を記念し、ガンダムインフォとサンライズ作品のポータルサイト「サンライズワールド」では、重田さんへのインタビューを実施。『機動戦士ガンダムSEED』制作当時の思い出から、本書の発売に至った経緯やその見どころ、これからメカの描き手を目指す人へのメッセージなど、盛りだくさんの内容を語って頂いたので、早速レポートしていこう。
なお、サンライズワールドではサンライズの仕事をするきっかけや『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』のOVAシリーズ、『GEAR戦士電童』などの作品に関わった思い出が語られているので、ぜひあわせて楽しもう。
⇒サンライズワールドのインタビューはこちら
本書は「ガンダムSEEDシリーズ」をはじめ、数々の大ヒットアニメでメカ作画の歴史に革新を起こしてきたアニメーター・重田 智さんの初書籍。ポスターやパッケージなどの「版権イラスト」を中心に、制作過程を含めたあらゆる仕事を収録した一冊となっている。
発売を記念し、ガンダムインフォとサンライズ作品のポータルサイト「サンライズワールド」では、重田さんへのインタビューを実施。『機動戦士ガンダムSEED』制作当時の思い出から、本書の発売に至った経緯やその見どころ、これからメカの描き手を目指す人へのメッセージなど、盛りだくさんの内容を語って頂いたので、早速レポートしていこう。
なお、サンライズワールドではサンライズの仕事をするきっかけや『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』のOVAシリーズ、『GEAR戦士電童』などの作品に関わった思い出が語られているので、ぜひあわせて楽しもう。
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重田 智さん スペシャルインタビュー

(サンライズワールド掲載部分に続く)
――その後『機動戦士ガンダムSEED』に関わるわけですが、感覚としては『サイバーフォーミュラ』や『電童』とは違う印象がありましたか?
重田:『ガンダムSEED』という作品は、福田さんのやりたい「ガンダム」があって、両澤千晶さんのストーリーがあり、平井久司さんのキャラクターデザインと大河原邦男さんのメカデザインがあることでTVアニメ-ションとしてはそれで成立しているんじゃないかと思っているんです。一部の方には「重田さんの描くモビルスーツが『SEED』らしいポイントだ」と言ってくれたりするんですよ。自分の印象としては、『SEED』や『SEED DESTINY』の時に自分が持ったメカ作監話数は1本か2本しかなくて、作業当時はオンエアも満足に観れていなくてHDリマスター版作業の時にやっとちゃんと観直せて「こんな話だったのか」って思ったくらいなんですね。そういう意味では、作業の数で言えば他の方の仕事量に比べたら一番描いていないかもしれないです。ただ、イメージとしてキービジュアルやオープニング、エンディング、版権イラストなど自分が描いたものが印象に残っていて、そのイメージが強いんじゃないかなとは思いますね。劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではメカ作画監督としてはほとんど描いていないんです。でもみなさんが印象に残っているシーンをたまたま作業していて、重田=『ガンダムSEED』の人と言ってくれているんじゃないかと思うですが、自分としてはそんなつもりはないんですよね。
――その後『機動戦士ガンダムSEED』に関わるわけですが、感覚としては『サイバーフォーミュラ』や『電童』とは違う印象がありましたか?
重田:『ガンダムSEED』という作品は、福田さんのやりたい「ガンダム」があって、両澤千晶さんのストーリーがあり、平井久司さんのキャラクターデザインと大河原邦男さんのメカデザインがあることでTVアニメ-ションとしてはそれで成立しているんじゃないかと思っているんです。一部の方には「重田さんの描くモビルスーツが『SEED』らしいポイントだ」と言ってくれたりするんですよ。自分の印象としては、『SEED』や『SEED DESTINY』の時に自分が持ったメカ作監話数は1本か2本しかなくて、作業当時はオンエアも満足に観れていなくてHDリマスター版作業の時にやっとちゃんと観直せて「こんな話だったのか」って思ったくらいなんですね。そういう意味では、作業の数で言えば他の方の仕事量に比べたら一番描いていないかもしれないです。ただ、イメージとしてキービジュアルやオープニング、エンディング、版権イラストなど自分が描いたものが印象に残っていて、そのイメージが強いんじゃないかなとは思いますね。劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ではメカ作画監督としてはほとんど描いていないんです。でもみなさんが印象に残っているシーンをたまたま作業していて、重田=『ガンダムSEED』の人と言ってくれているんじゃないかと思うですが、自分としてはそんなつもりはないんですよね。
――『SEED』で示されたモビルスーツのイメージを共有するアイコン的なものを重田さんが作られたのかなと思います。最初の『機動戦士ガンダム』でも名シーンでは印象的な決めカットがありましたが、そういう雰囲気を重田さんが『SEED』で復活させた結果がファンの印象に残っているのではないでしょうか?
重田:それは自分から「こうしたい」と思った結果できあがったものではなくて、まず福田さんからオーダーがコンテ等であって、どちらかと言えばそのカットの精度を上げていきたいという思いの方が強くて。結果、そうなっただけなのではないかと。『SEED』のスタート時に福田さんからあったオーダーで「モビルスーツのポーズを描いて欲しい」というものがありました。それは後に「スタイルガイド」と呼ばれる様になるんですが、福田さんの意図としては、大河原さんの描かれた設定画は形状がよくわかるのだけれど、劇中の所作というか動いているイメージがわかるものが欲しい、原画マンの参考となってモビルスーツの活躍するシーンが想像できるものを描いて欲しいということだったのかもしれません。でも、その時には詳細な指示が無かったので単純にポーズ集を描けばいいのかなと思った程度でした。それに対して自分としてものすごくこだわりがあって独特なものを描いているつもりはなかったんですよね。
重田:それは自分から「こうしたい」と思った結果できあがったものではなくて、まず福田さんからオーダーがコンテ等であって、どちらかと言えばそのカットの精度を上げていきたいという思いの方が強くて。結果、そうなっただけなのではないかと。『SEED』のスタート時に福田さんからあったオーダーで「モビルスーツのポーズを描いて欲しい」というものがありました。それは後に「スタイルガイド」と呼ばれる様になるんですが、福田さんの意図としては、大河原さんの描かれた設定画は形状がよくわかるのだけれど、劇中の所作というか動いているイメージがわかるものが欲しい、原画マンの参考となってモビルスーツの活躍するシーンが想像できるものを描いて欲しいということだったのかもしれません。でも、その時には詳細な指示が無かったので単純にポーズ集を描けばいいのかなと思った程度でした。それに対して自分としてものすごくこだわりがあって独特なものを描いているつもりはなかったんですよね。
――そのポーズ集がある意味『SEED』のモビルスーツ表現の原点ではあったわけですね。
重田:そうは言ってもポージングに関しても福田さんに「どんなポーズにしましょうか?」と相談したところ「それは任せる」って言われてしまって。そこでどうしようかしばらく悩んで、初期の5機のガンダムは「格闘戦用」、「遠距離射撃用」など仕様別にデザインが発注されていて、その機能を活かす武器が装備されているので、それが活きるようなポーズにすればいいのかなと思って描いた程度ですね。当然プラモデル等のホビーも出るわけでしょうから、装備されている武器をフィーチャーせずにモビルスーツ本体だけでのポーズもいかがなものかと思ったので、バスターは2つの砲身を繋げたものを両手で構えさせたり、ブリッツはシールドに武器が搭載されていていたりするのでそれを活かすようにしました。そうした描き分けをした程度で、みんなが言うような『SEED』的表現にこだわったというわけではないんですよ。それがいつの間にか自分が描いたものが「SEEDポーズ」というようなブランドで紹介されるようになってしまって(笑)。同じような発注があれば他のアニメーターさんも同じように発想するんじゃないかと思うので、何がそんなに違うのか自分としてはよくわからないんですよね。
重田:そうは言ってもポージングに関しても福田さんに「どんなポーズにしましょうか?」と相談したところ「それは任せる」って言われてしまって。そこでどうしようかしばらく悩んで、初期の5機のガンダムは「格闘戦用」、「遠距離射撃用」など仕様別にデザインが発注されていて、その機能を活かす武器が装備されているので、それが活きるようなポーズにすればいいのかなと思って描いた程度ですね。当然プラモデル等のホビーも出るわけでしょうから、装備されている武器をフィーチャーせずにモビルスーツ本体だけでのポーズもいかがなものかと思ったので、バスターは2つの砲身を繋げたものを両手で構えさせたり、ブリッツはシールドに武器が搭載されていていたりするのでそれを活かすようにしました。そうした描き分けをした程度で、みんなが言うような『SEED』的表現にこだわったというわけではないんですよ。それがいつの間にか自分が描いたものが「SEEDポーズ」というようなブランドで紹介されるようになってしまって(笑)。同じような発注があれば他のアニメーターさんも同じように発想するんじゃないかと思うので、何がそんなに違うのか自分としてはよくわからないんですよね。
――レイアウトを含めたポージングやパース感によるメカが映える見せ方、バランスの良さが支持されたんだと思います。福田監督とはモビルスーツの見せ方について何か話をされたりはしたんですか?
重田:福田さんは「『SEED』でのメカのターゲットは、小学生や未就学児童を含めた、これから「ガンダム」やガンプラを好きになる子たちも含めるから、勇者シリーズのようなある意味わかりやすいメカアクションでいいんだ」と言われていました。版権イラストの仕事でも「格好いいポーズでお願いします」とよく発注表にあったりするんですけど、それもなかなか難しいですよね。一体どんな格好良さなのか明確な指定もないですし、かなり描き手におまかせの事が多いんですよ。結果、そんな場合なかなか発想が浮かばなかったりするので、画面にドラマ性を持たせるというのか、本編のカットを別アングルにしてみるとか、組み合わせを変えてみるとかをしています。スタイルガイドでは点数が多かったので、構図が似ないようにモビルスーツの武装やポーズの向き。フレームに対しての左右方向、アオリかフカンかで描き分けるようなことぐらいしかやっていないんです。
重田:福田さんは「『SEED』でのメカのターゲットは、小学生や未就学児童を含めた、これから「ガンダム」やガンプラを好きになる子たちも含めるから、勇者シリーズのようなある意味わかりやすいメカアクションでいいんだ」と言われていました。版権イラストの仕事でも「格好いいポーズでお願いします」とよく発注表にあったりするんですけど、それもなかなか難しいですよね。一体どんな格好良さなのか明確な指定もないですし、かなり描き手におまかせの事が多いんですよ。結果、そんな場合なかなか発想が浮かばなかったりするので、画面にドラマ性を持たせるというのか、本編のカットを別アングルにしてみるとか、組み合わせを変えてみるとかをしています。スタイルガイドでは点数が多かったので、構図が似ないようにモビルスーツの武装やポーズの向き。フレームに対しての左右方向、アオリかフカンかで描き分けるようなことぐらいしかやっていないんです。
――11月に発売される画集『重田智WORKS メカニカル画集』は、どのようなきっかけで出版されることになったのでしょうか?
重田:『コードギアス 奪還のロゼ』に参加している時に、演出の安部保仁君と席が近かったんですよ。彼と話をしている時に「重田さんは画集を出さないんですか?」と言われたのがきっかけですね。最初は雑談で、「どこのアニメーターがね、自分から『画集を出したい!』って言うのさ?」みたいなやり取りをしていたんです。そもそもどうやって画集の企画が立ち上がって進んでいくのかもわからないし、安彦良和さんのように世間一般に名前が知れている方ならともかく、いちアニメーターの画集企画は無いよねと思っていたんで。それでも安部君が「だったら作監修正集みたいなものを同人誌で出してみたりしないですか?」とまだまだ言ってくれるんです。安部君の知り合いに同人誌の編集を手伝ってくれる人もいますよとか言ってくれるんですけど、同人誌に関してもやっぱり食指が全然動かなかったんですね。ところが、安部君の奥様がKADOKAWAで画集などの編集をされている部門の方で、安部君が「画集の企画が通るか聞いてみますよ」と話を進めてくれて。そうしたらどうしたわけか企画が通ってしまって出版することになってしまったんですよね。
重田:『コードギアス 奪還のロゼ』に参加している時に、演出の安部保仁君と席が近かったんですよ。彼と話をしている時に「重田さんは画集を出さないんですか?」と言われたのがきっかけですね。最初は雑談で、「どこのアニメーターがね、自分から『画集を出したい!』って言うのさ?」みたいなやり取りをしていたんです。そもそもどうやって画集の企画が立ち上がって進んでいくのかもわからないし、安彦良和さんのように世間一般に名前が知れている方ならともかく、いちアニメーターの画集企画は無いよねと思っていたんで。それでも安部君が「だったら作監修正集みたいなものを同人誌で出してみたりしないですか?」とまだまだ言ってくれるんです。安部君の知り合いに同人誌の編集を手伝ってくれる人もいますよとか言ってくれるんですけど、同人誌に関してもやっぱり食指が全然動かなかったんですね。ところが、安部君の奥様がKADOKAWAで画集などの編集をされている部門の方で、安部君が「画集の企画が通るか聞いてみますよ」と話を進めてくれて。そうしたらどうしたわけか企画が通ってしまって出版することになってしまったんですよね。
――今回の画集はタイトルにあるとおりWORKS=仕事集になっていますが、内容に関してはどのように決めていったのでしょうか?
重田:企画は通ったので「どんなものを作りましょうか?」という話になったんですね。とは言え、自分自身でアニメーションクリエイターの画集などを買ったりもしていなかったので、他のクリエイターの方がどんな構成の本にしているのかさっぱり判らなくて。普通に考えれば版権イラストを多数収録した構成になるんだろうなと思うんですが、『サイバーフォーミュラ』の版権イラストは思った程なくて『電童』の版権イラストに至っては本当にごくわずかしか無いんですよ。一方『SEED』関連の版権イラストはかなりの数があるんですが、ヒット作品ということもあって一冊の本にまとまってはいないものの、いろいろなところに収録されていますよね。それを一冊の本にまとめるというのはわかるかなと思いつつ、自分にとっては本当にそれだけでいいのかと悩みました。そんな状況で構成の話を進める中、そうした版権イラストとは別に立体物の監修図であるとか、本来の仕事であるアニメーターとしての作画作業にまつわる原画や作監修正などがいくつか残っていたので、これらも収録してはどうかと考えました。他にも安部君に「版権イラストを仕上げていくプロセスって、こんな感じなんだよ」というのがわかる、レイアウトラフ画や線画、影付け、ペイントデータ、CG加工処理などの段階を見せてあげたことがあって。彼にも版権イラストが仕上がっていく過程をメイキング的に見れるのは面白いと言ってもらえて。そういったものも含めて今回掲載する方向で考えていきました。
重田:企画は通ったので「どんなものを作りましょうか?」という話になったんですね。とは言え、自分自身でアニメーションクリエイターの画集などを買ったりもしていなかったので、他のクリエイターの方がどんな構成の本にしているのかさっぱり判らなくて。普通に考えれば版権イラストを多数収録した構成になるんだろうなと思うんですが、『サイバーフォーミュラ』の版権イラストは思った程なくて『電童』の版権イラストに至っては本当にごくわずかしか無いんですよ。一方『SEED』関連の版権イラストはかなりの数があるんですが、ヒット作品ということもあって一冊の本にまとまってはいないものの、いろいろなところに収録されていますよね。それを一冊の本にまとめるというのはわかるかなと思いつつ、自分にとっては本当にそれだけでいいのかと悩みました。そんな状況で構成の話を進める中、そうした版権イラストとは別に立体物の監修図であるとか、本来の仕事であるアニメーターとしての作画作業にまつわる原画や作監修正などがいくつか残っていたので、これらも収録してはどうかと考えました。他にも安部君に「版権イラストを仕上げていくプロセスって、こんな感じなんだよ」というのがわかる、レイアウトラフ画や線画、影付け、ペイントデータ、CG加工処理などの段階を見せてあげたことがあって。彼にも版権イラストが仕上がっていく過程をメイキング的に見れるのは面白いと言ってもらえて。そういったものも含めて今回掲載する方向で考えていきました。

――画集ではそうした作業過程や版権イラストのそばにコメントなども多めの分量で入っている形になっていますね。
重田:基本こういった画集では、絵を見せることを重視して、本誌の最後の方にまとめてコメントが載っている構成のものもありますけれど、「読んで面白い版権画集」にしたいという思いもあったので、版権イラストごとにコメントを収録する形に落ち着いた感じですかね。コメントもかなり多めの量で収録させてもらいました。版権イラストによっていろいろ考えたり思うところもあって、レイアウトの意味合いであったり、「苦労した部分」とか「ここをポイントにして描いた」とか、ちょっとした遊び心の描き込みの部分にも触れたいかなと。版権イラストって発表されるとそれを見て「なかなかいいですね」ってそれで終わってしまうことが多い。せっかく描いた版権イラストを描き手のこだわりやアニメーターとしてどんなことを面白がって作業をしているのかなどをもっと知ってもらいたいとも思ったんですよ。またプラモデルやアクションフィギュアなどの立体物監修もいろいろあって、図面に監修事項を書き込んであったりするんですけど、その書き込みとかを読むのが面白いから入れた方がいいですよとも言われて。立体物監修の仕事は、その後の『FREEDOM』の3Dモデルチェックでも監修の方法がわかっていて役立っているんですね。そうした流れから、版権イラストと立体物の監修、アニメーターとしての作画の三本柱の構成として、あとは仕事をしていく上での関係者の方との対談が載ったりといろんな意味で読んで面白いものにはなっていれば良いのかなと。自分の絵そのものにはあまり自信がないということもあって、絵を見せるだけではなくて、コメントや対談など読ませる形の画集というスタイルがいいのかなと思って作業を進めましたね。
重田:基本こういった画集では、絵を見せることを重視して、本誌の最後の方にまとめてコメントが載っている構成のものもありますけれど、「読んで面白い版権画集」にしたいという思いもあったので、版権イラストごとにコメントを収録する形に落ち着いた感じですかね。コメントもかなり多めの量で収録させてもらいました。版権イラストによっていろいろ考えたり思うところもあって、レイアウトの意味合いであったり、「苦労した部分」とか「ここをポイントにして描いた」とか、ちょっとした遊び心の描き込みの部分にも触れたいかなと。版権イラストって発表されるとそれを見て「なかなかいいですね」ってそれで終わってしまうことが多い。せっかく描いた版権イラストを描き手のこだわりやアニメーターとしてどんなことを面白がって作業をしているのかなどをもっと知ってもらいたいとも思ったんですよ。またプラモデルやアクションフィギュアなどの立体物監修もいろいろあって、図面に監修事項を書き込んであったりするんですけど、その書き込みとかを読むのが面白いから入れた方がいいですよとも言われて。立体物監修の仕事は、その後の『FREEDOM』の3Dモデルチェックでも監修の方法がわかっていて役立っているんですね。そうした流れから、版権イラストと立体物の監修、アニメーターとしての作画の三本柱の構成として、あとは仕事をしていく上での関係者の方との対談が載ったりといろんな意味で読んで面白いものにはなっていれば良いのかなと。自分の絵そのものにはあまり自信がないということもあって、絵を見せるだけではなくて、コメントや対談など読ませる形の画集というスタイルがいいのかなと思って作業を進めましたね。
――そろそろまとめに入りたいのですが、重田さんにとって福田監督とのお仕事に対してはどのような思いがありますか?
重田:福田さんは監督としてはクリエイタータイプで、まず自分のなかにやりたい事があって、それを具現化するように作品づくりをしていっていると思います。こだわりがある方なので、その制作に付き合っていくのは大変という一面もあるのかと。自分としてはできないことややりたくないことをやらされたという感じはあまり無くて、一緒に仕事をしてく環境としては非常にやりやすかったと思いますね。それは先程もお話したように育ってきた世代が似ていて、好きなものや格好いいと思うものにあまりブレがなくて、「こんなものが作りたい」と言われれば「これですね」と出していける感じというのは仕事としてはやりやすいし、悩むこともあまりしなくて済んでいますね。福田さんから見れば放っておいても要求に対するストライクゾーンから変に外れないのでしょうから「お任せ」って言ってもらえるところもあると思うので。そういう意味では仕事は非常に気がラクでもありましたね。
重田:福田さんは監督としてはクリエイタータイプで、まず自分のなかにやりたい事があって、それを具現化するように作品づくりをしていっていると思います。こだわりがある方なので、その制作に付き合っていくのは大変という一面もあるのかと。自分としてはできないことややりたくないことをやらされたという感じはあまり無くて、一緒に仕事をしてく環境としては非常にやりやすかったと思いますね。それは先程もお話したように育ってきた世代が似ていて、好きなものや格好いいと思うものにあまりブレがなくて、「こんなものが作りたい」と言われれば「これですね」と出していける感じというのは仕事としてはやりやすいし、悩むこともあまりしなくて済んでいますね。福田さんから見れば放っておいても要求に対するストライクゾーンから変に外れないのでしょうから「お任せ」って言ってもらえるところもあると思うので。そういう意味では仕事は非常に気がラクでもありましたね。
――そういう意味ではお仕事がしやすい監督だったわけですね。
重田:そうですね。福田さんが『サイバーフォーミュラ』や『電童』、「SEEDシリーズ」でやりたいと思っているような殺陣やメカシーンは基本ご本人がコンテを描かれているんですが、そのコンテを渡されてもそんなに描きづらくて困ると感じたことはあまりないですし、自分ではコンテの意向のまま描いたあがりに対して「今日のメカアクション良かった」と言ってもらえるんです。今までに観たことも聞いたことも、描いたこともないような方向の演出を提示されて、それを「何とかしてくれ」と言われることもほとんど無くて、作画の方向性で悩まされる様な事のない監督ですね。でも、もしかしたら悩まされる様な方がメカ作画のスキルアップになるということもあるのかもしれないですけどね(笑)。
重田:そうですね。福田さんが『サイバーフォーミュラ』や『電童』、「SEEDシリーズ」でやりたいと思っているような殺陣やメカシーンは基本ご本人がコンテを描かれているんですが、そのコンテを渡されてもそんなに描きづらくて困ると感じたことはあまりないですし、自分ではコンテの意向のまま描いたあがりに対して「今日のメカアクション良かった」と言ってもらえるんです。今までに観たことも聞いたことも、描いたこともないような方向の演出を提示されて、それを「何とかしてくれ」と言われることもほとんど無くて、作画の方向性で悩まされる様な事のない監督ですね。でも、もしかしたら悩まされる様な方がメカ作画のスキルアップになるということもあるのかもしれないですけどね(笑)。
――では最後に、メカ作画監督というお仕事をしている立場から、これからこの業界を目指す人にメッセージをお願いします。
重田:メカ作画に関して言えば、メカの手描き作業は減りこそすれ増えていくことはあまりないと思うんです。ではメカ作画マンはいらないのかと言えばそんなことはないと思うんです。現状では相変わらずメカ作画に精通したクリエイターがメカ3D-CG映像のクオリティをフォローしていかないといけないという状況に変わりはないんですね。クリエイターそのものの実力というか、経験と技術、そしていかにそれを他のクリエイターに伝えられるかが買われているということがあると思います。ジャンルとしてのメカ作画は少なくなっていくかもしれないものの、メカが活躍する映像という事で言えばこれからも生き残っていくと思うんです。だからこそ、メカ作画に興味を持って技術の研鑽を積んで実力を上げておくことが必要だと思います。この業界に嫌いで入ってくる人はいないと思いますし、好きという事は仕事をする上で大きな原動力になるんですね。その一方で、この仕事を続けていくとある時期から自分がアニメーションをどう好きなのかを見つめ直さないといけない時期がやってきたりもします。例えば、ある作品が好きで、その作品を描きたいと思って業界に入ってきてもその時はすでに作品そのものの制作は終了してしまっていて、描く機会はないという事はよくあります。きっかけは単純に「好きだから」でもいいと思うんですが、仕事を始めてからは「アニメーションを創る事が面白い」と思ってくれるといいんじゃないかなと。描くこと動かすことが面白い、フィルムを創るのが面白いという風に気分というかテンションを切り替えられるといいんじゃないかなと思うんです。自分は『宇宙戦艦ヤマト』を見て「ヤマトの様なメカが描きたい」と思って業界に入ったわけですけれど、仕事としてはすでにロボットアニメがメインという状況で、戦艦を描く事はありませんでしたね。それでもロボットアニメの作画をやってみたら、これはこれで仕事として面白いんだというのがわかって。作画の仕事を目指すのでしたら、何でもいいので仕事の中での面白味を見つけられるといいんだろうと思います。それは自分で気づくのか、誰かに教えてもらうのかはわかりませんけれど、そうしたことを頭の片隅に置いて、アニメの仕事に携わっていってもらうといいんじゃないかと思うんですね。
重田:メカ作画に関して言えば、メカの手描き作業は減りこそすれ増えていくことはあまりないと思うんです。ではメカ作画マンはいらないのかと言えばそんなことはないと思うんです。現状では相変わらずメカ作画に精通したクリエイターがメカ3D-CG映像のクオリティをフォローしていかないといけないという状況に変わりはないんですね。クリエイターそのものの実力というか、経験と技術、そしていかにそれを他のクリエイターに伝えられるかが買われているということがあると思います。ジャンルとしてのメカ作画は少なくなっていくかもしれないものの、メカが活躍する映像という事で言えばこれからも生き残っていくと思うんです。だからこそ、メカ作画に興味を持って技術の研鑽を積んで実力を上げておくことが必要だと思います。この業界に嫌いで入ってくる人はいないと思いますし、好きという事は仕事をする上で大きな原動力になるんですね。その一方で、この仕事を続けていくとある時期から自分がアニメーションをどう好きなのかを見つめ直さないといけない時期がやってきたりもします。例えば、ある作品が好きで、その作品を描きたいと思って業界に入ってきてもその時はすでに作品そのものの制作は終了してしまっていて、描く機会はないという事はよくあります。きっかけは単純に「好きだから」でもいいと思うんですが、仕事を始めてからは「アニメーションを創る事が面白い」と思ってくれるといいんじゃないかなと。描くこと動かすことが面白い、フィルムを創るのが面白いという風に気分というかテンションを切り替えられるといいんじゃないかなと思うんです。自分は『宇宙戦艦ヤマト』を見て「ヤマトの様なメカが描きたい」と思って業界に入ったわけですけれど、仕事としてはすでにロボットアニメがメインという状況で、戦艦を描く事はありませんでしたね。それでもロボットアニメの作画をやってみたら、これはこれで仕事として面白いんだというのがわかって。作画の仕事を目指すのでしたら、何でもいいので仕事の中での面白味を見つけられるといいんだろうと思います。それは自分で気づくのか、誰かに教えてもらうのかはわかりませんけれど、そうしたことを頭の片隅に置いて、アニメの仕事に携わっていってもらうといいんじゃないかと思うんですね。
重田 智さん プロフィール
アニメーター。千葉県出身。草間アートを経てスタジオMAXに所属。1985年『はーいステップジュン』で動画デビューし、『銀牙 流れ星 銀』、で原画デビュー。『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』OVAシリーズ、『GEAR戦士電童』、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ、などサンライズ作品のメカニカル作画監督をつとめる。
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