アニメ・映像・音楽

2018年05月25日 (金)

出渕裕×庵野秀明が対談!「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 4KリマスターBOX」封入特典インタビュー冒頭公開!

キャラクターデザイン・北爪宏幸さん、富野監督も登場!

バンダイナムコアーツより6月22日(金)に発売される「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 4KリマスターBOX」の封入特典「ドキュメントコレクション」に収録されるインタビューの冒頭部分が、本日5月25日(金)に公開された。

 

今回公開されたインタビューは、キャラクターデザイン・北爪宏幸さん、モビルスーツデザイン・出渕 裕さんとメカニカルデザイン・庵野秀明さん、原作・脚本も担当する富野由悠季監督。(前回公開された分はこちら)

 

 

 

封入特典「逆襲のシャア ドキュメントコレクション」収録インタビュー冒頭公開

 

当時の自分の限界まで引き出してもらった作品

キャラクターデザイン 北爪宏幸

――『機動戦士ガンダムZZ』に引き続いてのキャラクターデザインになります。

 

自分自身、最初の『機動戦士ガンダム』の世代ということもあり、『逆襲のシャア』の企画を聞いた時は「これは安彦(良和)先生がやるべきなのでは」という気持ちになりました。ただ状況的にはそれはもうかなわないことは分かっているわけです。ここはやるしかないし、やる以上は富野(由悠季)監督の“手”になって、富野監督の求めていることはできるだけ形にできるようにしようという、思いで参加しました。

 

――実際のデザインはどうだったでしょうか。

 

『ΖΖ』と『逆襲のシャア』では大きく違うところがあるんです。『ΖΖ』は『Ζ』から直接続いて放送されましたが、もともと内田(健二)プロデューサーから聞いたのは、新番組ではなく「『Ζ』の延長が決まった」ということだったんです。そこで言われたのが、延長する上で新キャラクターが登場するんだけれど、今度は安彦先生は参加されないので、『Ζ』ガンダムでの作画のテイストで新キャラクターを描いてほしい、ということだったんです。端的にいうと、雰囲気を変えないでほしいというわけです。それに対して『逆襲のシャア』の時は富野監督から「これは新しい作品だから、キャラクターも変えていく」というようなことを言われた記憶があります。『ΖΖ』の延長ではないということで、まずはやってみてほしいと。

 

 

 

戸惑い。そして、魅力の発見。

モビルスーツデザイン・出渕 裕×メカニカルデザイン・庵野秀明

出渕:ガイナックスがメカ全般を依頼されたのは、岡田(斗司夫)さんが仕事を受けたからだったの?

庵野:と、聞いています。内田(健二)プロデューサーからガイナックスの岡田さんに連絡があって、増尾(昭一)さんと僕がメインで会社としてやることになった。田中精美さんがクリンナップしてくれるなら、というのが自分が引き受ける条件でした。艦船関係が中心で、増尾さんが連邦で、僕がネオ・ジオンという役割分担ですね。

出渕:宇宙服はお貞(貞本義行)でしたっけ?

庵野:宇宙服は、貞本さんがラフを描いたと思います。あと、ネオ・ジオンの艦船以外もいろいろ描いているんですよ。モビルスーツのコックピットやシャクルズとベース・ジャバー、ネオ・ジオンの港湾警備艇、コロニーのレーザー砲、アムロのエレカやリニアトレイン、アムロが使うヘッドセット、最初に出てくるシャトルなんかもそうです。ただ途中から、食事用のトレーとか過去作品の設定を流用できるようなものまで発注がくるようになって。もう予算分のデザインは終わったと岡田さんが判断して以後の作業は断ったので、制作途中で仕事が終わったんです。

 

――庵野さんはνガンダムのコンペにも参加したそうですね。

 

出渕:僕も見せてもらいました。

庵野:コンペに参加というより、バンダイビジュアルの渡辺(繁)プロデューサーと話していた時に「線を減らしたものはどうでしょう」と提案した感じです。その時期がいつだったか、記憶が曖昧なんですよ。

出渕:コンペ自体が急だったんですよ。「『逆襲のシャア』って作品をやっているんだ」と他人事のように思っていたら、僕のところにも、メテオのように降ってきた感じだった(笑)。短い時間でわっとラフを描いて出した記憶があります。

 

――当時のムックを見ると、近藤和久、小林 誠、大森英敏、鈴木雅久、大畑晃一、佐山善則といった方もラフを提出したと書かれています。

 

出渕:きっと渡辺さんや内田さんが、頼めそうな人にガンガン依頼していったのが実情じゃないかと思うんです。庵野君のデザイン案は、ほとんど最初のガンダム(RX-78)と同じで。違うのは後頭部が少し張り出しているだけだったんですよ。

庵野:最初のガンダムぐらいの線の量に戻したかったんです。『Ζガンダム』の時に線が一気に増えてしまったのが残念で、当時は「線を減らさねば」と本当に義憤に燃えてましたね。僕の感覚では、工業製品はどんどんシンプルになるものなので、『Ζガンダム』や『ガンダムΖΖ』を見ると、モビルスーツはむしろ技術的に後退しているんじゃないかっていう感じがするんです。あと、アニメーターとしては線が多いものは大変だから、止め絵で引きで見せることが増えて、動かす面白さにはなっていないんですよ。そうなる気持ちもわかるんですが。ファーストガンダムのころは安彦(良和)さんがモビルスーツをキャラクターとして動かしていて、その適度な線の量がよかったと思うんですよ。だから、劇場とはいえ、あの線の量は描くのは大変だろうということで線を減らしたガンダムを提出したんです。

 

 

 

映像は記憶の中で生きていく

原作・脚本・監督 富野由悠季

――『逆襲のシャア』の冒頭10分を見ながら演出についてうかがいたいと思って来ました。

 

映像を見ながら、物語論と映像論の話をするというのはちょっと無理でしょう。というのも、映画というのは基本的に記憶に寄っている媒体なんです。観客は映画を見終えた後に、それを記憶の中で反芻して、そこで意味性がわかってくる。そういうものですから、映像をリアルタイムで流しながら、その関係性を語るというのは単純に無理だとしか言えないんです。

 

――お話はわかります。どうして冒頭10分を取り上げようかと思ったかというと、そこが富野監督が書かれた『映像の原則』(キネマ旬報社)の実践として、すごくわかりやすいからなんです。

 

それはわかります。ただ、結局その話は「映像は記憶の中でその意味性が分かるように構成しなければいけない」ということになると思います。

 

――わかりました。では映像は見ませんが、冒頭の展開を追いかけつつ質問するところから始めさせてください。例えば冒頭は、カメラが月面へ降りていって、アナハイムの工場の中に入り、チェーンのセリフから始まります。

 

まずチェーンという、まったく新しいキャラクターを出すことで「あれ? この話はアムロもシャアも出てこないじゃないか」というフックをつけたんです。そしてシートをバァーンとめくり上げてガンダムの顔を見せる。ここで観客は「ああ、これで話が進むのよね」と思えるわけです。ドラマを進めるキャラクターから入っていって、背景や道具になっていくものを紹介していく。それがメインタイトルのバックになっているという点では「富野さん、上手いよね」と(笑)。先日、見直してそう思いました。

 

――タイトルが出た後は、今度は地球上にいるクェスにカメラが切り替わります。

 

物語の展開上、クェスから始めなくてはならないのは当然なんです。でもここで大事なのは、物語を進行させていく流れの中で、ガンダムという商品名――というより、いまや世界観を表わしている象徴ですね――を、いつまでも隠していてはいけないということです。だからスルっと、アバンにガンダムを持ってきました。この構造をとることが、記憶されるべき作品の場合にとても重要なんです。この手のジャンルのつまらない作品は、そこをルーチンで処理していて、どう記憶されるかを考えていないケースが多い。

 

――クェスは親元に連れ戻されてから宇宙に向かうまで、画面左側(下手)から右側(上手)への移動と一貫しています。また、宇宙空間の戦闘はネオ・ジオン軍が下手、連邦軍が上手と分けられています。こうした上手下手を使った情報整理の仕方の重要性は、『映像の原則』でも強調されているポイントです。

 

これは、ごく当たり前なことで、日本の演劇の世界が上手と下手の意識を持ったときからやっていることです。聞くところによると、ヨーロッパには不思議なことに上手下手という概念はないそうです。それでも方向性を使って演出はされているので、これは本当に普遍的なものだということができます。世の東西を問わず、キスシーンの時、たいがい男性が右側に配置されているというのは偶然でもなんでもないんです。そして、これをちゃんと“劇”の表現にきちんと取り入れましょう、ということなんです。

 

――冒頭のシャアとアムロの戦闘ですが、その合間に「地球を背にしたアムロ」「地球を間に挟んで下手にシャア(サザビー)と上手にアムロ(リ・ガズィ)」という構図が出てきます。それぞれが本作全体のコンセプトを示す画面になっています。

 

そういうことに観客が気付く必要というのは、本来的にはなくていいことです。観客は鋭いので、必要な映像の組み合わせをきちんとやっておけば、あとは説明をしなくても、抵抗なく思い出せるところにいってくれます。「映画とは記憶である」という話はそういうことなんです。……それでいうと、コンテをきっている時に気にかけていたのは、「アムロをなるべく早く地球を背景にして喋らせたい」ということでした。それをどの位置に持ってこれるか。漠然と考えていたわけではありませんが、実際問題、ここまでアムロの立ち位置を示す画面が作れなかったのは、ちょっと失敗だったかなという気持ちがあります。優れた映画っていうのは、そういうところの手際がいいものですから。

 

――『逆襲のシャア』の場合、物語を牽引していくのはシャアです。

 

それは当然『逆襲のシャア』というタイトルを付けたときから決まっていました。ただ、牽引者ではあるのだけれど、劇というものは牽引者がいれば成立するほど簡単なものなのか、という問題があります。そう考えたときに、シャアが必殺兵器で最後に勝利者になっていいのかという問題がでてくるわけで、映画ではむしろ、彼が情けないところまでいってしまう方向を選びました。そこがドラマの構造の妙なんです。平たくいうと「それって面白くない?」ということです。……今回、音響の調整もあったので全編を改めて見直しましたが、ドラマの構造という点では『逆襲のシャア』はよくできてるなと驚きました。たとえば登場人物の立ち位置を、最低でも二重にセッティングしているのはよかったです。

 

 

 

 

6月22日(金)発売予定の「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 4KリマスターBOX」は、フィルムの4Kスキャンとリマスターに加えてHDR化も実施し、これまでにない圧倒的映像美を実現。

さらに、絵コンテやラフスケッチなど秘蔵資料を収録したドキュメントコレクションが特典として封入されるほか、ドルビーサラウンド音声成分を分解・再配置し、低音成分を追加した4.1ch アドサラウンド音声を音声特典として収録する。

4K ULTRA HD Blu-ray(UHD BD)と通常のBlu-ray Discの2枚組で、価格は9,200円(税抜)。

 

 

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